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2004.09.13

『1930年代の美術』E・ルーシー・スミス著

タイトル:『1930年代の美術』
著者:E・ルーシー・スミス(多木浩二・持田季未子訳)
出版社:岩波書店
定価:5200円
初版:1987年7月
ISBN:4-00-001179-0

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読後感を整理し切れていないのだが、図書館の返却期限がやばいので、取り急ぎ...(大汗)。

サブタイトルに 不安の時代 とあるように、1930年代を、いわゆる近代美術の百花撩乱期ではなく、『ヒトラーと退廃芸術 <退廃芸術展>と<大ドイツ芸術展>』
http://gozar.cocolog-nifty.com/meongmoengi/2004/08/__3.html
のように、さまざまなイデオロギーと社会不安、国際情勢の不安が入り組んだなかでの美術活動とは?という視点で描いている。
翻訳書であること、また著者の語り口に多少クセがあるのが気になるが、訳文がいい感じで、文章を平易に、雰囲気を柔らかくしているのでは?と思える。

本書の原書は85年に出版されているが、革命以降のソ連の捉え方は、『全体芸術様式スターリン』
http://gozar.cocolog-nifty.com/meongmoengi/2004/05/post_5.html
と共通する点が多い。
同時に、ソ連に限らず、さまざまな地域の潮流を取り上げているのが、個人的にこの本の気に入っったところだ。
もちろん、訳者も指摘しているとおり、アジア・アフリカ地域の状況がすっ飛ばされているのは気になるが...。
(まあそれは欧米研究者のお約束だしね・笑)

特に「ロシアにおける社会主義リアリズム」については、スターリンが新19世紀の<移動派>等から受けた影響に言及して特徴づけ、30年代のモダニズムの潮流からは突出して危険視されていた、としているが、一方で、内実は北米やラテンアメリカにおける社会主義リアリズムからの影響の大きさを描き出し、多様な展開をしていたことも説明している。当時のアメリカ大陸では、コミュニズムが進歩的な思想のひとつというか、トレンドであったことが、美術界からも伺える。
訳語では、真っ当なスターリン主義的美術と、その他の社会運動的なものを区別するために、アメリカの「FPA」などに参加した作家らの活動を著すのに、「社会的リアリズム」ということばを汎用的に使っていた。

それにしても、私も今までここで、随分「社会主義リアリズム」という用語を使ってきたが、そうとう安易に、むちゃくちゃに使ってきたのかな(誤用の箇所を自分で指摘できない・汗)。
私もこれからは、「社会的リアリズム」という用語も、もう少し意識してみようかと思う。

個人的に、1930年代のなかで、イギリスも含めたヨーロッパとアメリカのデザイン潮流を同時代的に論じる文章には、触れる機会も少なくないが、ファインアートのそれはなかなか見あたらなかったので(単に不勉強なだけか?)そういう点でも新鮮に読めた一冊だった。

うーん、いまいち通り一遍な書き方になってしまった(汗)
なんだかんだ言って、全然消化できてないのか、わし。おそまつ...。

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