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2004.05.12

『ユリイカ』2003年11月号:マンガはここにある・作家ファイル45

タイトル:『ユリイカ』2003年11月号
出版社:青土社
定価:1238円
初版:2003年11月
ISBN:4-7917-0112-7

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いや、普段から『ユリイカ』なんて読むガラではないんだが(汗)、今回、特集で「マンガはここにある・作家ファイル45」、小特集で「韓国マンガ文化の現在」という記事があったので、図書館で貸出に出ていたことを確認して(けち!)早速読んでみた。

江口寿志+山本直樹両氏の対談(!)、注目のマンガ作家45人、ほかにいくつかの小論文があり、どれもそれぞれに読みごたえがあったが、個人的に特に興味深かったのは、夏目房之介氏の「マンガは誰のものか?著作権・批評・読者」だ。
マンガをひとつの創造的作品ととらえた時に、それは作家のもの(著作権も含めて)なのか、あるいは読者の目に触れ、さまざまな「読み方」が読者ひとりひとりの中に生まれた時、それも含めて作品となるのか、という問題を提起しいている。
氏は、芸術作品は作者こそが真の理解者であると言った夏目漱石(お祖父さん!)の芸術論を紹介し、近代の芸術観は、あらゆる表現行為に彼の考え方が少なからずあてはまると言うが、送り手と受け手どちらのものであるか、という視点よりも、お互いのベクトルを相互に整理することが必要だとまとめている。

実は昨年、学校の「造形学概論」という課目で「芸術における『作品』とはなにか、美術史のなかでの『作品』への認識の変化を踏まえて論じなさい」というレポート課題を書いたことがあった。
いくつかの芸術学の本においても、「作品」は、第三者に「観照」されてはじめて作品になるのではないか、という理論を見たが、私自身も、現代の芸術では、単に「つくる」と「みる」の関係がさらに深化して、作家と多くの人との共同制作作業や、インタラクティブな装置など、表現者と周囲の関係性が重要なのではないか、という論旨のレポートにした覚えがある。
マンガ作品は、「ファインアート」以上に、ある世代や社会への影響も大きいポピュラーな表現であり、それは作品の「読み方」を通して多くの人がコミュニケーションすることを意味するだろう。
マンガの「読み」が生むコミュニケーションと、その他の造形作品の「観照」が生むそれを比較したり、互いに参考にしたりするのも面白いのではないか…、なんて、かなり思いつきで考え(妄想か?)している私であった(汗)。

小特集の「韓国マンガ文化の現在」は、個人的には既知の内容が殆どだったが(いや、自慢してるんじゃないんですよ!ほんとに^^;;)、座談会の論客であったソン・ジョンウ、イ・ヒョンソク(原文では漢字表記ですが、一部表示できない漢字があるので、カナ書きにします)の2名が、できるだけ客観的に話そうとしている姿勢に、好感を持った。
#いや、韓国で「韓国の●●について聞きたい」と人に聞くと、かなり主観的に語られる場合が多いので…(もちろん、実は日本でも他の国でも同様かもしれないが)実際この2名の話も、8割くらいで聞いておこうと心で努力してしまったし(苦笑)。
特に、イデオロギーに対する世代格差、またネット上でのファン活動への言及などは、日本人が分かりにくい部分だと思うので、よかったのではないだろうか。
しかしひとつ気になったのは、東浩紀氏が、韓国ではサブカルチャーという言葉そのものもあまり流通していないのでは、という主旨の発言をしていたが、これは、韓国では、80年代までなら「アンダーグラウンド」、90年代以降には「インディーカルチャー」「オルタナティブ文化(代案文化)」と言い換えていることと、ほぼ同義ととらえていいのではないだろうか。
もちろん、特に「アンダーグラウンド」には、民主化運動時代の検閲をかいくぐって浸透した文化、というニュアンスが大きいのだが…。
韓国では、日本でいうところのサブカルチャーが成立していない、とも曲解されるような表現は、あまり適切ではないのでは?と思えた。
しかしながら、全体的にはソン・ジョンウ氏の寄稿も含めて、韓国の状況が分かりやすく捉えられるいい特集だったと思う。

東氏の文章の中で、今回の韓国での調査をきっかけに立ち上げた彼らの交流団体ACCF「アジア文化コンテンツフォーラム」では、参加者、協力者を求めている、とあった。
一瞬「面白そうだ!」と思ったが、良く考えたら、ソヴィエト体制論だけで頭がメルトダウン(@@;;)、『ユリイカ』も今回はじめて読んだなんていう奴が、頭脳的についていけるわけないよな〜(爆)

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